おはようございます。田中です。今朝は寒かったですね。これが10月としては普通なのかもしれませんが。
テレビ、新聞などの報道を見て、中学校給食がデリバリー方式から温かい給食に変わるということで、喜んでいらっしゃる方も多いと思います。これはこれとして、いいことです。もう20年以上前でしょうか、中学校に給食実現の運動に参加した一人である私からみても、当時、デリバリー弁当までしか前に進めずにいましたから、大きな一歩と感じます。
しかし、広島市がやろうとしていることは、「中学校に温かい給食を」を表看板に、小学校の給食調理室を廃止し、学校給食はすべて民設民営の大型給食工場でつくり、保温の容器に入れてトラックで運んでくる方式に変えることです。技術が進んでいるので、運ぶ間にどんどん冷めてしまうということはないのかもしれません。しかし、学校給食を教育の一環から切り離してしまうのには大きな問題を感じます。
日本給食サービス協会という民間学校給食を推進する団体が、民間で実施するためのノウハウを提言しています。
第1、献立のマニュアル化。より良い給食を作るための工夫や努力はやめなさいと言うこと。第2、冷凍食品や防腐剤添加の保存食品の利用と、食材一括大量購入。第3、栄養士の指示を受ける仕組みの排除。給食が民営化されると、一般的には公的な栄養士は指示できなくなります。民営化された場合でも、指示・注意できる仕組みを導入させることは不可欠です。第4、陶器の食器はやめる。第5、手作りなど調理員の技術と熟練が必要なものはつくらない。「教育の一環」の前に、コスト削減、儲け優先であることがよくわかります。
広島市の給食民営化を進める根拠はただ一つ。コストです。1食当たり○○円で、自校調理より安いという論理です。しかし、ここでは、民間は、自校調理に比べて安全・安心か、おいしいのか、お昼前に給食のにおいがただよわなくなることなどに子どもたちはどう感じているのか、子どもの教育にとってどうなのか、などなどはまったく検討されていません。しかも、民営化は長期的には決して安くありません。最初は委託を受けるために利益度外視ですが、長期化すると交渉力も増してきて、契約金のつり上げにつながります。埼玉県の春日部市では、児童・生徒数はどんどん減っているのに、6年間で契約金が2.1倍になった例も報告されています。
県内で、放課後児童クラブを公設・民営化した自治体はすべて経費が増えています。広島市も、保守系議員の民営化推進の質問に、民間は補助金が多額にかかる旨を答弁しています。民間は意外とお金がかかるのです。(2021.10.18)
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