おはようございます。田中です。
広島市の今回の有料化計画の最大の特徴は、その理由に財政的な問題を掲げたことです。これまではすべて「受益者負担」論でした。最初は、「放課後児童クラブは福祉サービスだ」というものでした。「福祉サービス」という言葉には、「社会福祉」は国民の権利ではなく、購入する「商品」であるという意味を多分に含んだ言葉です。児童福祉法にも出てきますが、放課後児童クラブの部分には使われてはいません。「福祉サービス」とはどういう意味なのかの問いに、当時の広島市は、お金がある人は入れるが、ない人は入れない仕組みにすること、さらに「商品」だから、市には必要数をそろえる義務はないという意味ですとは説明できず、「社会福祉と同じ意味です」と答弁し、自壊していきました。
次に持ち出したのは「利用する者と利用しない者との公平性の問題」という議論でした。放課後児童クラブを利用する者はしない者(たとえば子育て中の共働きではない主婦)よりたくさん税金を使っているので、お金を払えというものです。放課後児童クラブに入れている親はそうでない親とは違って、税金で自分の家族と主婦の生活も支えていることを無視した暴論です。最後は「誰が不公平と言っているのですか」と問われた市が、「誰も不公平とは言っていません」と答弁し、再び自壊。
そして今度持ち出してきたのが、財政が苦しいという議論でした。これは、きちんと説明すれば説得力のある議論になります。しかし、別の言い方をすれば、広島市にはある程度は数字を使って説明しなければならない義務が生じます。数字を使って、なぜ6500億円もある予算の中から、利用料総額3億2000万円が調達できないのかを説明しなければなりません。月の生活費が30万円の家庭なら150円にも満たない金額です。この説明は一度もされていません。(2022.6.6)
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