こんにちは。田中です。
6月18日の市連協総会では、放課後児童クラブの利用料が有料になっても、簡単には放課後対策にはまわらないことを財政の仕組みから説明しました。
(1)まず、みなさんが支払うようになるかもしれない利用料は、歳入の「諸収入」という項目に計上されます。「諸収入」から入ったお金は、「税収」など他の項目から入ってきたお金と一緒にして、いったん市の“大きな財布”に入ります。そして、市政の各部門に予算に応じて振り分けられます。
(2)だから、みなさんが利用料を払っても、その分だけ放課後の予算が自動的には増えず、自動的に放課後の充実につながるわけでもありません。現在、放課後の予算は、予算全体の0.4%ですから、特別な事情がなければ、みなさんが払う利用料の0.4%が放課後に、その他(99.6%)は他の事業にまわされると考えてもおかしくありません。この比率から言えば、3000円(年36000円)の利用料のうち、放課後にまわるのはわずか12円(144円)です。しかも12円分充実される保証はまったくありません。全額が他の事業にまわることもあり得ます。
(3)これでは、払っても払っても、少々値上げされても、放課後児童クラブの充実に結び付けるのは大変なことです。有料になれば歳入が増えるので要望を実現する条件が幾分かでも拡大することは認めます。しかし、12円分の充実のために3000円払いますか。あまりにも割が合わないのではないでしょうか。残念なことですが、利用料が有料になっても、放課後児童クラブの充実にはなかなか結び付かないのです。
(4)市の政策によっては、従来の予算に加えて、一般財源からお金を回して実行する場合があります。例えば「トイレの男女別への改修を5年間でやろう」と市が決めれば、5年間は従来よりも多めの予算になります。
(5)ところが、私たちが声を出さなければ、市はそのような政策をなかなかもってはくれません。それではどうするか。私たちは、利用料無料のままでも、保護者と指導員の声と活動の力で、放課後児童クラブを充実させてきました。ここが一番大切な点です。
エアコンひとつつけるのも長い長い要求活動が必要でしたが、現在は故障したら市がつけてくれるようになりました。電気代も市が支払うことを検討するとまで言っています。増設は今では条例があるので自動的に行われますが、そこまで行くためには1997年に放課後児童クラブが法制化されて以来の全国的なねばり強い活動がありました。今後5年かけて児童館遊戯室にエアコンが設置されるようになりました。それも繰り返し要望した結果です。
結局、有料になったとしても、もちろん無料のままでも、放課後児童クラブをよくする最大の力は、「利用料」ではなく、保護者と指導員の声と活動なのです。
(6)したがって、有料になろうが無料が続こうが、結局保護者と指導員の声と活動が強ければ強いほど、広がれば広がるほど、子どもたちにより充実した環境を、より早く提供できることになるのです。「有料になれば保護者会活動はしなくていいんでしょ」という声もあります。これまでご説明した通り、それでは保護者はただお金をとられるだけ、子どもは我慢を続けることにしかなりません。
少し長くなりました。また次回に。(2021.6.21)
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